140文字劇場+α W副長詰め1
140文字銀土劇場とか小ネタとかからW副長シリーズのやつだけ詰め込み詰め込み。
(出されたシチュエーションとキーワードを入れて140文字以内で銀土小説を書きましょう、というものです。)
(ですが途中から140文字に収めることを放棄しています…)
↑古・新↓
『縁側』で【祭り】【自棄酒】を入れて
自室近くの縁側に腰掛けると喧騒も遠くなる。広間は祭りのような乱痴気騒ぎだ。一人宴から抜け出た銀時がその遠い音に苦笑していると、ややして同じ副長である男が呆れ顔でやって来た。銀時が徳利一つと猪口二つを手に抜けた真意を解っている癖に「一人で自棄酒かよ」などと可愛くない事を言いながら。
(11/05/19)
『長屋』で【ガソリン】【汚い】を入れて
隊で借り上げてる薄汚い長屋に、男が一人転がっている。それもまた返り血やら埃やらで大分汚いが、ガソリン切れ、などと言うあたり怪我はしてないのだろう。不逞浪士相手に一人奮戦してきたらしい甘味馬鹿にガソリン代わりのいちご牛乳を手渡して、土方はお疲れさん、と汚れた銀髪をぐしゃりと撫でた。
(12/09/16)
『文机』で【朝】【隣】を入れて
ふっと目が覚めると視界に見慣れた天井が映った。障子越しの明かりから疾うに朝を迎えていると知る。昨夜は書類と格闘していた筈だが――と首をめぐらせれば、すぐ隣で土方の代わりに文机に向かっている男がいる。「…坂田?」なんで、と呼びかけると「風邪っ引きは寝てろ」と不機嫌な声が返ってきた。
(12/09/21)
『屯所の食堂』で【スカーフ】【寄り添う】を入れて
食堂で朝食をとっていると「坂田」と土方の声が後ろから聞こえた。見れば土方はスカーフがどうのと銀時に注意している。銀時はまだ寝惚けているのか「やって」甘えたように言う。チと舌打ちしながらもスカーフを直してやる土方のその寄り添うような姿はまるで――と想像し、山崎は朝からうんざりした。
(12/11/24)
『屯所』で【汗】【静まる】を入れて
深夜のしんと静まり返っている屯所の中でその一室だけは密で濃厚な空気が揺らいでいた。汗ばんだ体同士をきつく抱き合いながら行為によって荒いだ呼吸が静まるのを待っていると、不意に銀時が頬を摺り寄せてくる。どうした?と土方が裸の背中を撫れば銀時はぽつりと呟いた。「ちょう幸せでちょい怖ェ」
(12/12/13)
『文机』で【タオルケット】【憎い】を入れて
僅かな期待を抱いて忍び込んだら、部屋の主は文机に突っ伏して静かな寝息をたてていた。
風邪ひくだろ、と押入れから取り出したタオルケットを掛けてやれば、その感触で目が覚めたらしい「…坂田?」ふうと瞼を上げ、掠れた声が名前を呼ぶ。
「そーですよ」邪な期待が叶わなかった不満から、拗ねた素振りで銀時が返事をすると、寝惚けているらしい土方がふわりと微笑む。
「あったけェ」そんな言葉をポツリと落として再び眠りへと落ちていった土方に、銀時は盛大に顔をしかめた。
こんな状態の相手に手を出す訳にもいかないというのに、何故そんな笑みを向けるのか――愛しくて憎い恋人を若干恨めしく思いながら、せめてもと口づけを落として我慢するしかなかった。
(13/01/01)
『屯所』で【充電器】【一緒に】を入れて
「オイコラ待ててめー」
見廻りの時間です、と新八に呼ばれて渋々部屋を後にしようとしたら、背後から土方の低い声が飛んできた。
何?と振り返った視線で問えば土方は「何か忘れてねェか」と眉根を寄せた不機嫌そうな顔で答える。
忘れ物――と巡らせた思考で、ああ、と銀時はにんまり笑んだ。
「悪りィ悪りィ、行ってきますのチュー忘れてた」
「アホか!」
唇を重ねようと顔を寄せた銀時を思い切りどつくと、土方はズビシと部屋の片隅を指差した。
そこには充電器に差しっ放しの携帯電話が転がっている。
「いつになったら携帯すんだこのアホ!」
出かける時にゃあ一緒に持ち歩け!――土方の怒声が室内に響き渡った。
(13/01/11)
『橋』で【雨】【あえかな声で】を入れて
サアサアと降りしきる雨の中、探していた姿を橋の上に見つけた。
銀時が身に纏っている制服は濡れそぼり、黒が深くなっているだけだ。けれどその足許に広がる雨水には僅かに赤が混じっているように感じ、土方は眉をひそめた。
人を斬ったのだろう。制服に返り血を浴びるような、荒い剣で。
胸中に広がる暗澹とした思いを押し殺していると、ふう、と銀時が顔をあげ土方の姿を認めた。かち合った赤い瞳は冥く澱んでいる。
また過去の名に──過去の記憶に引きずられる様な何かがあったのだ。
男の双眸に確信し、「ふざけんな」土方は遣る瀬無い思いで吐き捨てると殊更顔を険しくさせ、足取りも荒く銀時に詰め寄り──濡れて雫が滴り落ちる銀色の頭を思い切り叩いた。
「痛ッてェよ!」
「うっせェ!文句言える立場かてめェ!」
途端喚きだした銀時にいつもの如くで怒鳴り返し、何かを言い返される前に「さっさと仕事に戻りやがれ!」ぐいとその腕を掴んで屯所へと歩き出した。
濡れた制服は掴んだところでその下の体温を伝えてこない。それが何故か不安を掻き立て、土方は足を速めた。
誰が──
「そっち側に行かせてやるかよ……」
ぽつり零れ落ちたのは自分でも驚く程あえかな声で、雨音に紛れて掻き消えた。
(13/01/21)
(W副長で求婚)
「そろそろ結婚してもよくね?」
俺ら──と銀時が唐突にそんなことを言い出し、土方は「は?」と瞠目した。
明日の捕り物に関する内談をしていたというのに、何故そんな話になるのか──眉をひそめる土方に、しかし銀時は真顔で「結婚」などと再び口にする。
こんな話題だというのに常になく真剣なその顔から、銀時がふざけて言ってる訳ではないと知り──土方は深々とため息を落とした。
「──今さらだろ?」
お互い想いを重ね、時にはこうして互いの命を預け与え合うような捕り物に臨んでいる間柄だ。護り護られ、なんてガラではないが、それでもどこかで護り合い、命を、心を──その一部を託している。
だというのに、今さら結婚などというそんな形式が必要なのか──。
土方が言い含めるようにそう口にすれば、銀時はぐ、と唇を引き結んだ。その頬がじわじわと赤くなっていく。
銀時の反応に土方が再び瞠目すると、顔を隠すかのように座卓に突っ伏してしまった。
「たまにそーいう殺し文句サラッと口にすんの、ホント勘弁してくんね?」
心臓もたねーよ──照れているらしい声がもごもごと聞こえてきた。
(13/01/26)
(診断メーカーにて坂田副長のプロポーズの言葉「結婚してやってもいいけど?」 より)
サボり魔の見張りを兼ねて同じ部屋で書類を片していたとき、ふと今日が求婚の日だなどという話になり「結婚してやってもいいけど?」その流れで銀時が言い放ったのはそんなふざけた事で、「頼んでねェよ!」土方はその人を食ったような笑みを浮かべた顔に思い切り書類の束を叩きつけた。
『屯所』で【刀】【なぞる】を入れて
昼も過ぎた屯所内の座敷に、熱心に書類を作成しているらしい銀時の姿を見つけ土方は目を丸くした。
「──珍しいな」
思わずそう声をかけたら意外にも真面目な双眸が返ってくる。
本当に珍しい──土方が内心驚愕していると、鹿爪顔の銀時に来いとばかりに手で呼ばれた。
そんな表情に何事かと近寄ったら唐突に「ご褒美ください」などと抱きすくめられ──土方はアホか、と盛大に呆れ果てた。
「何が褒美だ。普通に仕事してるだけだろーがてめー」
土方がそう言い剥がそうとしても、銀時はしっかりとしがみ付いて離れようとしない。それどころか、もう無理疲れた充電切れ、などとぼやきを零しながら、土方のシャツの中に手を滑り込ませ、素肌の背中を撫で上げる始末だ。
「おま──」
背骨をなぞられる感覚に声を荒げかけたものの、乾いたその手のひらの剣だこまで感じとれると思わず息を呑んだ。
その手が時に刀を握り白刃を閃かせる──その光景を思い出すと殊更鼓動が跳ねた。
けれど──
「まだ早ェ」
終業時間まであと数時間ある。
土方が言外にそう含めたのを正確に読み取ったらしい、銀時は嬉しそうに目を細めた。
「んじゃあ、夜な?」
(13/01/28)
(W副長と神楽)
「三つ編みにしてからクルクルーヨ」
外廊下を通り、自室へと向かっていた銀時の耳に神楽の楽しげな声が届いた。
ふいと視線を向ければ、声音同様の空気を纏った神楽が濡れ縁に腰掛けている。その横には胡坐をかいている土方の姿もあった。
どうやら土方は神楽の髪を結おうとしているらしい。しかめっ面で、けれどどこか神妙な手つきで神楽の髪を弄っている。
ふたりの表情から察するに、神楽がせがんだのだろう。ニコ中ブッキーネ、などと言いながらも神楽は嬉しそうにきゃらきゃら笑っている。
「ツルツルしててやりにくいんだよ」
返す土方のぼやき声は、途方に暮れたような色を滲ませていて、銀時は思わず苦笑してしまった。
もう少しこの微笑ましい光景を眺めていたい気もしたが、ちらりと向けられた神楽の目線に呼ばれ、銀時は足を進めた。
「──代わってやろーか?」
笑い含みにそう声を掛ければ、ホッとした様な土方の顔と「銀ちゃんヘルプが遅いアルヨ」などという神楽の笑顔が同時に向けられ、知らず銀時の顔もほころんだ。
(13/02/06)
『ケーキ屋』で【チラシ】【苦手】を入れて
「ちょっと停めろ」
助手席からの声に山崎がパトカーを路肩に停めると、土方はすぐ戻る、と言い置いて車を降りてしまった。何事かと見守る中、その黒い姿がすぐ先の店へと消えていく。
それはつい先日オープンしたばかりのケーキ屋だった。
甘いのが苦手な筈の土方が何故ケーキ屋に──生じた好奇心に背中を押され、山崎もまた車を降りる。
硝子張りのドアからこっそり中を覗けば、土方はショーケースと手元とを見比べながら何やら店員に告げていた。土方が手に持っているのは、先日新聞に折り込まれていたこの店のチラシだ。
よくよく見ればそこには赤い丸印が幾つもつけられていて、それで全てを理解した。
最大の有力候補はもうひとりの副長である糖分王だが、意外と大食漢の少女なのかもしれない。あるいはその両名か──。
甘いのが苦手な癖に甘いんだからこの人は──こっそりとため息を落としながら、土方に気づかれぬよう山崎は車へと戻った。
(13/02/07)
『川の辺』で【坂田】【また】を入れて
夕暮れの川の辺で夕陽を反射して光る川面をぼんやり眺めていたらふとどこか躊躇うような気配を背後に感じた。
「──坂田」
そう呼ぶ声で解っていたが、振り向いた先に居たのはやはり土方だった。
その顔は眩しい夕陽で逆光になって見えなかったが、きっと眉根を寄せた難しい顔をしているに違いない。
時おりこの男はそんな顔をする。怒っているような困っているような、ただ不安を押し殺しているかのような──そんな顔を今もまたしているのだろう。
そうさせているのが自分だと自覚はあっても、銀時には何も言えない。何か言ったところで、土方の不安が消えることはないだろう。
だから銀時は「腹へったー」へらりと笑ってみせた。
「どっかで食ってこーぜ」
俺おでんの気分ー、と土方の腕を掴んで歩き出したら「…寿司」暫くしてぼそりと声が落とされた。
ちらりと振り返ると土方は仕方ないなとでもいうような諦めに似た笑みを浮かべている。
そんな顔にごめん、と心の中で呟き、土方の腕を掴む手にグッと力を篭めた。
(13/02/16)
『ケーキ屋』で【ガソリン】【押し倒す】を入れて
ケーキ屋の前で店から出てきた土方にばったり出くわした。男の手にはこの店の、それも大きめの箱がある。
「まーた神楽かよ」
きっとあの少女にねだられたのだろう。わずかに面白くない思いで銀時が顔をしかめれば、土方はまあな、と頷いた。
「ひな祭りっつっても何すりゃいいのか解んねーからな」
そう言って肩を竦める。ひな祭りの祝い方を知らないからせめて、ということらしい。
その思いは解るが、神楽に甘すぎやしないか──銀時がム、と口を尖らせると、土方は軽く噴出した。
「おめーにもガソリンくれてやっから、キリキリ働きやがれ」
箱を掲げてそんなことを言うあたり、銀時のやきもちを違う意味合いに取ったらしい。
「そんじゃあ、遠慮なく、イタダキマス」
にんまり笑んで宣言し、土方の腕をしっかと掴んだ。
ケーキ以上のガソリンである男は、銀時が早々に自室に戻って押し倒そう、などと考えているとは思っていないようだった。
(13/03/03)
『ケーキ屋』で【アイドル】【食べる】を入れて
先日土方が入っていったケーキ屋の前を通りかかった時、女の子達の声が聞こえてきた。
「副長さん今日も来てるかな?」「どうだろ来てるといいな」
その内容に山崎は頭を抱えたくなる。
「副長さん」の一言で浮かんだのは以前この店に入っていった己の上司で、それは恐らく当たっているのだろう。
そして「今日も」などと言われるほどに訪れてはケーキを買って行ってるのだ、自分が食べることなど無い癖に。
土方が真選組のアイドルとも言える少女に甘いのは知っている。それに対してもう一人の副長がご立腹なのも知っているが、アンタに対しても充分甘いですよ土方さんは──などと、本人には言えないツッコミを胸中で呟き、山崎は深々とため息を零した。
(13/03/17)
(2011/05/19〜13/03/17)
(13/04/02 up)
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