初めてだから、優しくしたかった。
けれど、その肌に触れてしまったら、余裕など綺麗に掻き消えた。
約束をしたこの場所で彼を抱き、どれほどの時間が経ったのか。室内は既に薄暗くなっている。
「ん……ッ、ァあ」
銀時の動きに土方の嬌声がこぼれ、ぐちゅぐちゅと響く粘着質な水音と絡み合って密やかに空気を震わせる。
「あ……ッ、ンん……!」
快楽を逃すかのように土方がかぶりを振ると、漆黒の髪が汗で顔に張りついた。長い前髪で顔が隠れてしまうのがもったいなくてその髪を掻きあげてやると、土方の瞼がふるりと震えてゆっくりと上がった。
涙の滲んだ瞳が銀時に向けられ、さかた、とその唇が動く。
それを見てとると、銀時のなかでまた欲がぶわりと大きくなった。
こうして土方を抱く光景は何度となく脳内で思い描いていたが、実際の土方は想像以上に扇情的だった。
赤く染まった肌も、快楽を堪える表情も、抑えきれずに漏れたような喘ぎ声も、全てが想像以上で銀時の情欲は煽られる一方だ。土方のなかに挿っているのだ、というその事実だけで堪らない気持ちになるというのに、粘膜どうしが擦れ土方のなかがきつく絡みついてくる度に、烈しい快感が脳天まで突き抜け、歯止めなど利かなくなる。
見つけ出したいいところを狙って腰を動かしながら、勃ちきった土方の性器に手を伸ばすと、途端、土方の体が一層大きく跳ねた。
「あ──あぁ、ッや、あ……」
濡れそぼったそれは既に限界だったらしく、ぐちゅぐちゅと数度扱いただけで白濁を放った。
「あ――ア、ぁ……!」
体を強ばらせて土方が達すると、銀時が入っている内側もぎゅう、と締めつけが強くなる。搾り取られそうなきつさに強く射精を促され、追従するように銀時も吐精した。
土方の体を強く掻き抱きながら、眼を閉じてその強烈な快感を追っていると、
「んっ、ァ……」
苦しいのか土方が小さく身じろぎした。
土方の内側は、今はやんわりと銀時自身を包んでいるが、土方のわずかな動きでやわらかな内壁との摩擦が生まれる。土方の顔だけでなくその直接的な刺激にも触発され、銀時自身は簡単に硬さを取り戻した。
荒い息を繰り返す土方の頬をべろりと舐め、銀時は腰をゆるゆると前後させた。途端、土方の体がびくりと竦む。
「や……、さかた、も、や……、ムリ、だ……ッ」
銀時の体を押しやろうとしながら、土方が弱弱しく頭を振る。はあはあと繰り返される土方の荒い呼吸が、啜り泣いているようにも聞こえた。銀時を見上げる瞳は陶然と潤んでいるのに、その奥にはわずかな怯えの色が滲んでいる。
それもそうだろう。男と体を繋げる――しかも受身での行為など、土方はこれが初めてだ。だからこそ、優しくしてやりたいと、確かにそう思っていた。
けれど――と銀時は自分の理性が弾け飛んだ音を思い出し、内心苦笑する。
けれど、その肌に触れてしまったら、余裕など綺麗に掻き消えた。
どれほどこの男を想い、焦がれ、かつえていたのか――そんな自分の内面を叩きつけられ、思い知らされたようだった。
飢餓を一番強く覚えるのが、ほんのわずか飢えを満たされたときのように、その肌に触れ繋がったことで、底のない欲に火が灯された。
抱けば抱くほど、もっともっとと果てのない情動が湧き起こるのだ。
土方の表情に罪悪感を覚えるものの、それを凌駕する飢餓感にも似た情動に突き動かされ、銀時はひたすら腰を打ちつけた。