大人の事情
「や、あ、ア……っ!」
あがる声を堪えることもできず、体を震わせて土方が達すると、銀時は歯を食いしばりながら体を強ばらせた。その動きから、銀時もまた吐精したのだろうと、茫とする頭で思う。
荒ぐ息を整えようとしていると、気だるい体をぎゅう、と抱き込まれた。どちらのものかもわからない煩い鼓動を聞きながら目を閉じる。汗ばむ腕の熱さが心地良い。
鼓動と呼吸が鎮まっていく中、ふと体の中の違和感に気づき、土方は眉をひそめた。
オイ、と声をかけるよりも先に、ず、と中で動いた感覚に背筋が震え――
「ぅあ!?」
驚きのあまり、頓狂な声が出た。
え、と見上げた先には、何事かと目を丸くした銀時の顔がある。どした?、なんて小首をかしげながら訊ねてくる銀時に対し、ああクソ、ムカつくけどコイツ死んだ魚みてェな目ェしてなきゃまだ見れるよなあ、などと、場違いな感想を抱いた自分を殴りたくなった。
ほんの数拍とはいえ、なにを見惚れているのだ自分は――この状況で。
「な――なんで、おまえ、元気なんだ……?」
恐る恐る――というより、もはや戦々恐々とした思いで訊ねる。達してからものの数分だというのに、中に入ったままの銀時の性器は萎えている気配がない――どころか、物凄く、元気だ。
「だって出してねーもん」
あっけらかんと返された答えに、土方の思考が一瞬止まる。なにがどうしたって?、と未だ熱が篭っているかのような脳内で銀時の言葉を繰り返し――
「は!? なんで!?」
理解すると土方は驚愕から叫んでしまった。
目を見張る土方の視線の先で、銀時がにっかりと笑う。
「堪えた。銀さん頑張ったぜー!」
「威張んな! 頑張らなくていい! つーかもう抜け、ッア……!」
またしてもず、と動いた硬い性器に内壁を擦られ、息が詰まる。脊髄を駆ける快感に土方が全身を震わせて堪えていると、銀時がえー、と駄々をこねるような声をあげた。
「だってなんか、もったいねェんだもん」
「意味わかん……ッ、さり気なく動くなあ!」
油断のならない動きをみせる銀時を、その髪を引っ掴んで制する。ちぇー、などとわざとらしく拗ねてみせる銀時を睨みつけたら、宥めるかのような唇が目許に落ちてきた。そのまま顔中に口づけながら、銀時がホントはよ、とささやく。
「なんべんでもずーっとこーしてやってたいくらいなんだけど。でも俺ももう若かねーからなァ」
「知ってるっつーの。だからムリすんなっつーの!」
「ムリじゃねェっつーの。ちょーっと復活の呪文唱んのに時間がかかるだけだっつーの」
だから、とまた腰を前後され、土方は息を呑んだ。その反応に、銀時が嬉しそうに笑ったのがわかる。
「ずーっとこうしてるには、出すのガマンすんのが一番かなー、って」
「ア、ホか! そんなん、付き合わされるこっちの身にもなりやがれ!」
「うん、俺も頑張るから、土方君も頑張って!」
「そんな頑張りいらねーっつってんだよ!」
ふざけんな、と怒鳴ったところで本格的に行為を再開されてしまうと、余韻の残る体はいとも簡単に高められ、抗議の言葉は嬌声に代わる。
何度も何度も突き上げられ、あられもない声をあげながら、土方は茫とする頭で決意した。
次からは、さっさと抜かせよう――そんなくだらないことを。